人はなぜセッションに来るのか

セッションホストを長くやっていると、時々聞かれることがある。

「みんな何しに来てるんですか?」
改めて考えてみると、実はよく分からない。

もちろん演奏しに来ている。
それは間違いない。
でも、それだけでもない気がする。

上手くなりたい人もいるだろう。

仲間を探している人もいるだろう。

誰かに認められたい人もいるだろうし、暇つぶしだってあるかもしれない。

どれも不思議ではない。
人間なのだから、承認欲求はあって当たり前だ。
ただ、長年見てきて思うのは、そのどれか一つに決めることもできないということだ。

そもそも同じ人でも理由は変わる。

若い頃は上達したくて通っていた人が、数年後には顔なじみに会いに来るようになることもある。

逆に、なんとなく来ていた人が、気が付けば真面目に音楽と向き合っていることもある。

どちらも特別な話ではない。
むしろよくあることだと思う。

だから、「この人は上達のために来ている人」「この人は仲間を探しに来ている人」といった見方は、あまり意味がないような気がしている。

人はそんなに単純ではない。
同じ人でも、その時々で求めているものは変わる。

そういえば、自分だってそうだった。

昔はとにかく演奏したかった。
今はどちらかと言うと聴いている方が楽しい。
ベーシストが少ないので結局弾くことになるのだけれど。

ホストを続けてきた理由だって一つではない。

修行のつもりだった時期もある。

仲間を探していた時期もある。

頼まれたから続けていた時期もある。

暇つぶしだった部分もある。

もし誰かに「本当の理由は何ですか」と聞かれても、自分でもよく分からない。

だから、人はなぜセッションに来るのかと聞かれても、結局は同じ答えになる。

私には分からない。

いや、正確には、一つには決められない。

同じ人でも理由は変わる。

昨年の理由と、今年の理由が違うことだってある。

結局、答えは一つではないのだと思う。

だから私は、この人は何のために来ているのだろう、と考えるのをやめた。

演奏しに来ている。

まずはそれで十分なのだと思う。