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らいとすたっふ

多摩市で活動している社会人ビッグバンドです。練習目的に集まっている所謂「リハーサルバンド」のため、ライブなどはほとんどやりません。が、最近ちょっと頻度が上がっています(年に1回ぐらい)。どこかで見かけたら声をかけてください。

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Column

失敗から学ぶバンド運営 その2

September 30th, 2016

ビッグバンドをつくろう!と思ったときに考えなければいけないのはコンセプト。つまり「どんなバンドにしようか」ということです。
「とにかく激しい曲をやるバンド!」とか、「どんな曲でも出来るバンド!」とか、「Swingを追求するバンド」とか。

メンバーを募集する時はどんなバンドかを明確に出来なければ人は来てくれません。楽譜を選ぶときもある程度コンセプトに沿っていないと没になる可能性もあります。
「どんなバンドか?」というのは非常に重要なことだというのはお分かりいただけると思います。

さて、今回のコラムでは選曲などの主導権を握り、自分の好きな曲をごり押したためにメンバーの反発を受け、バンドを崩壊の危機に陥らせてしまったある人から学んでいきたいと思います。
ちなみにフィクションですので、よく似た人や事例が合っても気のせいです。あしからず。

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本音で話せ

Aさんは様々なバンドを渡り歩き、老舗のアマチュアビッグバンドでのコンマス経験もあるプレイヤーです。
彼はとにかくC楽団が好きで、しかも古いC楽団の曲を常日頃からやりたがっていました。

地元に新しいビッグバンドが出来たため加入することにしましたが、そのバンドはG楽団や、B楽団の曲を中心に行うという明確なコンセプトのあるバンドでした。

明確なコンセプトの元に選曲やバンドの運営を行っていたそのバンドですが、紆余曲折あり運営を担っていた人や指導者が離れ、Aさんがいつの間にか中心人物になって行きました。

ただのメンバーであった頃は、運営責任者のコンセプトに則った専制的な運営手法(前回参照)に異を唱えていたAさんでしたが、中心人物になるにつれ徐々に独裁的になっていったのです。

ここで一度まとめておきましょう。

元々ただのメンバーであったAさんですが、自分が主導権を得るまでに下記のようなことをしています。

  1. 周りのメンバーに的外れな運営責任者の陰口を言い、運営責任者が呆れて辞める
  2. 元運営責任者に近しいメンバーを排除するように働きかけを行う
  3. 指導者がいるため不要と言われていたコンサートマスターに自分がなる
  4. 都合により指導者が離れた隙に選曲を自分の色に染める
  5. 独裁体制完成

だいたいこんな感じになります。
前回も言いましたが、私はバンド運営において専制的であることは悪いことではないと思っています。
しかしそれは、運営する人間がきちんと責任を取ることが前提です。
今回のケースでは、Aさんは一人で責任を取ることをせず、バンマスを上に置いた上で自分の好きなことをしようとしていたのです。
このバンドの体制には、幹部会のようなものがありその場で意思決定を行っていたようですが、ストッパーにはならなかったようです。

こうしてAさんの暴走とバンド崩壊のが始まっていきました。

AさんはとにかくC楽団の曲をやりたがる人なので、どうにかしてC楽団の曲を採用させようと働きかけます。その内容は以下の通りでした。

G楽団も、B楽団も古いC楽団を真似て演奏をしている。本物のJAZZをやるためには古いC楽団をやることが最も重要だ

何も知らず、疑うことをしない人たちは「へぇ~、そうなんだ~」と思うかもしれません。人によっては「さすがAさん!博識だ!」と思う方もいるでしょう。
しかしこれ、C楽団の曲を採用させるためのウソと言ってもいいと思われます。
なぜなら、C楽団の結成は1936年の末。対してB楽団は1932年と4年も早いのです。G楽団の結成はは1937年ですが、ほとんど同時期に立ち上げられたといえます。
もちろん同時代に活躍した人たちですから、音楽的な影響を受けたことはあるでしょう。B楽団のリーダーはC楽団のリーダーを「彼こそSwingのKingだ!」とも言っています。が、それは「お互い様」でしょう。
B楽団、G楽団が一方的にC楽団をパクっていたなんて明らかなウソだとそれぞれの曲を聴けばわかるはずです。AさんからはB楽団、G楽団に対する尊敬の念がないことが見て取れます。

さて、こうしてやりたかったC楽団の曲を中心に構成されたバンドですが、古参のメンバーは不満を持ち始めます。
もともとの「G楽団や、B楽団の曲を中心に行うという明確なコンセプト」の元に集まったメンバーですから当然です。「話しが違う」と言う訳です。
「本物のJAZZをやるためにはC楽団の曲が必要なんだ」という言い訳でしのいでいたAさんですが、ついにある引き金が引かれることになります。
それが

ライブでとあるハードロックな曲をビッグバンドアレンジして演奏

なんでこんなことしたのか私にもわかりません。K○○Sが好きだったのかな・・・?
ちょっと前に「本物のJAZZをやるにはC楽団だ!」と言った矢先にハードロックをビッグバンドで演奏。しかも批判に拍車をかけたのがビッグバンドとは思えない微妙すぎるアレンジでした。
ちなみにアレンジャーはAさんです。

これにより、C楽団の曲を推すのはバンドのことを考えているわけじゃなく、自分がやりたいからなんじゃないか?とメンバーが疑問を抱きます。
AさんがC楽団大好きなのはメンバーの誰もが知っていることですから、そう思うのも仕方の無いことです。

Aさんのことを疑問に思うメンバーは次々と辞めていき、残ったのはAさんがコンマスになってからのメンバーだけとなりました。
その数総勢7名
ビッグバンドを名乗るには少々少ない人数です。

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さて、Aさんのケースを話してきましたが、この場合何がいけなかったのでしょうか?
コンセプトを無視したことでしょうか?

私は最初こういいました。「コンセプトは重要である」と。

たしかにどんなバンドかを表すコンセプトは非常に重要です。それは間違いありません。
でも、私はこうも思います。

「コンセプトはぶれる」と。

コンセプトがぶれることはバンド運営に限らず多くの事例があります。そしてコンセプトのぶれは混乱を生み出し、中途半端になってしまうことが多いですが、もとより良くなることもあります。
コンセプトが変わること事態は致命的とは言えないのではないでしょうか?

では今回のケース、何がいけなかったかというと、「コンセプトを変えようとすることを話さず、ごまかした」ことだと私は思います。

明確なコンセプトの元にあるバンドでは、それを変えようとするときに当然反発が起きます。辞める人も出てくるでしょう。
しかし、反発されること、辞められることに怯え、話さず、ごまかしているとメンバーからの信頼を失い、結局反発され、辞められてしまうのです。
コンセプトが変わることを説明されていたのならば、ある程度納得して辞めることも出来ると思いますが、ごまかされ、いつの間にか変わってしまっていると「だまされた」と思う人も出てきます。この場合の辞め方は決して幸せな辞め方では有りません。
もしAさんが最初から「C楽団が好きだから、もっとC楽団の曲をやらせて欲しい」と本音をメンバーに言えたなら、違った結末があったのかもしれません。

と、いったところで今回のまとめです。

  1. コンセプトがぶれるのはある程度は仕方が無い。変にごまかしたり、隠したりしないで本音で話そう
  2. 博識ぶった言動は程ほどに。詳しいのは自分だけではないと知ろう
  3. バンドのコンセプトとやりたいことが違う人がやめていくのは、決して不幸なことではない。むしろやりたくない事をやらさせるほうが不幸である
 [番外]バンドリーダーとやりたいことが違ったら、追い出すことを考えずに自分でバンドを作れ。

以上、本日のコラムでした。
次回は「失敗から学ぶバンド経営その3 メール弁慶はやめなさい」の予定です。
ご覧頂きありがとうございました。